おばちゃんと二人三脚

おばちゃんと二人三脚

おばちゃんとさくらが一緒に遊んだり運動したり勉強したりしてきた記録です~アルツハイマーの新しい治療法「リコード法」を始めました~

症状あれこれ

おばちゃんもね、やっぱり同じはなしをくりかえすんだ。
タクシーに乗せて、さくらの家につれてきたときは、タクシーの運転手が愛想がよくて、おばちゃんもごきげんでね。

「こどもがいたずらで友達の靴を投げて屋根の上になげてね。おこらずに、そのこの目をじっとみつめたらごめんといった」というはなしを運転手さんに何回もしていた。
運転手さん、やさしくて笑って聞いてくれてました。ありがとう。さくらもこのはなし大好きですよ。おばちゃん。


おばちゃんは計算も得意。家計簿をずっとつけていたからかな。
でもね、おばちゃん。
「おばちゃん、今日なんにち?」「えっと、4月・・・」「11日だよ」「そうだね。4たす11で・・・」
「おばちゃん、いま8時15分だよ」「そうだね。8たす15は・・・」
・・・おばちゃん、なんでもたさないで!!

 

服はとにかくかさねて着ちゃう。さくらがしってるのは、上着を5枚、ズボンの下にも3枚はいてたときもあったよ。

ぬがしてもぬがしてもでてくるから、さくら笑っちゃった。
義理叔父も外に出かけるとき以外はほったらかしだから、同じ服ばっかり着てるみたい。しまいに穴まであいちゃってね。みんな、義理叔父に、そんなもの着せるなって怒ってたよ。
おばちゃんはおしゃれだったから。みんな、さびしいみたい。知ってるおばちゃんじゃないみたいだって。


字は読むのは得意だけど、書くのはだんだんできなくなってきている感じ。書けるときと書けないときがあって、あまりかんがえない方がすっとでてくるみたい。ひねりだそうとすると逆にでてこない。

さくらのなまえをいつも手帳にかいてもらうんだけど、なかなかでてこないときはちょっとさみしくなります。すっとかいてくれたときはなんだかうれしくなります。

 

ものの名前も最近少しでにくいね。このごろ、なにをみても「トレーナー」って。

でもね、おばちゃん。
「トレーナーだね・・・」とつぶやくのは、やっぱりやめてください。

 

人の顔は分かりにくくなったね。見間違いも増えちゃった。テーブルクロスをかけ布団とまちがえて、さくらに何度も「とってくれ」って。上に花瓶がのってるから、むりだって。おばちゃん。

 

道具はちゃんとつかえてるよ。えんぴつとか消しゴムとかハサミとか。
えんぴつを返してくれるときは、芯がさくらにむかないようにきちんとひっくり返してにかえしてくれる。そういうところ、かわらないね。

 

会話はちょっと苦手かな。みんな、おばちゃんとはなしをしにきてくれるんだけど、前みたいにみんなの会話にくわわれないみたい。おなじはなしをしちゃうしね。

 

むかし、さくらにいつもいってたはなし。「映写機でとったフィルムがあるの。映写機あるから遊んでいいよ」って。
さくらはそのはなし適当に聞いてたけど、いまはもうそのはなしはしなくなった。
いっしょうけんめい映写機をおばちゃんの部屋からさがしてね。フィルムはみつからなかったけど、おばちゃんはもうおもいだせない。
もっとちゃんと聞いときゃよかった。とったフィルムを一緒に見れたのにね。
おばちゃん、いろいろおもしろいはなしをもっているはずなんだ。
たぶん、ひきだしのおくにしまいこまれているんだって、しんじているんだけど。