論より証拠
さくらがへやにはいると、おばちゃんテレビ見ていた。目はしっかりしている感じ。
「こんばんわ」ってあいさつしたら、おばちゃん、テレビでプロ野球を見ながら、
「さくらがいないかさがしてたんだよ」だって。
いやいや、いてたらおかしいし。
今日はおばちゃんにきいてみたいことがあって、好き嫌いがあるって義理叔父がよくいうから、
リコード法推薦のブロッコリーをすき?ってきくと、ブロッコリーを知らない様子?!
うそ?しらないで食べてたの?それとも忘れた?
ちょっと不安になって、同じく推薦のさつまいもは?ってきくと、好きだよっていってくれて一安心。
さくら、いまちょっと、ブロッコリーとさつまいもでなにかちょっとした料理できないか考え中なんです。おかあさんにもちょっと協力をおねがいしています。
このあとひさしぶりに、いっしょに折り紙で鶴をおりました。いつもは鶴の足を細くおるところでつまづくんだけど、今日はそこは成功。でもそのあとはこんがらがっちゃったので、残りはいっしょにおりました。時間があればもっと工作したいんだけど、運動とか勉強とかいろいろすることがあるのでしかたないね。おばちゃんは手芸とかすごく得意で、字もうまくて、さくらの家にもおばちゃんがつくってくれたものをかざりとしてかざったり、おばちゃんの編んでくれたセーターとか今も着たりしています。さくらのおかあさんはそのはなしをするたび、「ほんと残念」とためいきつきます。認知症はいろいろなものをうばっていくんだよね・・・
おばちゃんとの運動や勉強がおわって、義理叔父がへやにはいってくると、この前のリコード法の放送を見たとはなししてきました。
けっこう期待してみてくれたらしいけど、すこし期待はずれだった様子。
義理叔父としたら、あのバラエティーのノリがかるくてそれがあまりだったみたい。
ブレデセン教授がバラエティーののりにあわせてくれたのは、サービス精神だとおもうけど、山中教授はそんなことしないはずだって(山中教授もしそうだけど)
まあたしかに真剣に見ようとしている人からしたら、あののりはうすっぺらくはみえるかもね。ブレデセン教授が、外タレにみえたっていってたし。これは、さくらも懸念してたこと。たしかに、バラエティーは敷居を低くはしてくれるけど、ぎゃくに信憑性に欠けてしまう。
義理叔父は、どのような過程でよくなってどの程度までそれが続くのかを知りたかったみたい。とりあげられた時間が短かったのも不満だったそう。
このあと、義理叔父が、認知症がなおるわけないと力説。
さくらが、認知症でもなおる可能性もあるんじゃないのっていうと、「絶対ない。認知症が治るわけない」って。
そんなところ、力いれられてもさくら、こたえようがないんだけど。さくらも専門家ではないから、リコード法の効果があるか信じるか信じないか、それはひとそれぞれじゃないのって。
ただ、なおるってなんだろう。癌だってなおる人もいればそのまま死んじゃう人もいる。そりゃ、もし認知症の特効薬ができたとしても、それでもなおるひともいればなおらないひともかならずいるだろうし。それを、認知症はなおらないっていいきってしまうのはちょっとらんぼうではないのかな。
認知症でまったくはなしできなかったひとがすこしはなしできるようになったなら、それをなおったということはできないけれど、これはこれですごいことだとおもうよ。
しかし、さくらがあれこれいうたびに、義理叔父は、それはちがう。そんなことはありえない。っていちいちりくつをこねてくる。
「改善例もあるんだよ」
ー「そんなのあるはずない」
「治った例もあるらしいよ」
ー「そんなわけない」
「維持できるだけでもすごいじゃん」
ー「外人にきくものが日本人にきくとはかぎらない」うんぬん。
そのくせ、このまえ、テレビで牛乳を毎日のんで認知症予防しているおばあちゃんのことをやっていたとまじめなかおしていってきたり。
どういうこと?それこそ、認知症じゃない人がただ牛乳をまいにちのんでいるだけじゃないの。まったく。
ところで、最近、おばちゃんの便どう、ってきいたら、しっかりとした便が出てびっくりしたって。「それ、さくらのもってきたサプリのせいだよ」っていうと、それはどうかなだって。いやいや、それしかないでしょ。あなたが、食事を改善してるとか、運動させているとか、なにかあるなら別だけど。このへんでさくら、かなりつかれてきました。
しかし、さくらおもった。おなじあほならかわいいあほになろう。へりくつこねるあほにはなりたくないって。